CHIZU BLOG

父が倒れた夜

父も65歳 40年以上会社を経営して来て切磋琢磨しながら仕事で付き合って来た方の送別会が今夜あるという
周りの仲間が現役を引退する中 この方と父の2人になっていた
その方が とうとう引退される事となったのだ 
福岡からの出席者が多い事もあって 小雨の中 両親が傘をさして出かけて行くのが
2階の窓から見えた
「車でいかんと?」
「福岡までやし 呑むけん高速バスで行く 帰りはタクシーで帰って来る」
ふ~ん 店の名前も 送って行こうかとも言わなかった・・・・

携帯が鳴った・・・
母からだった 迎えに来てというのかと思った 眠たいのになぁと思った

「お父さんが! お父さんが!」

一瞬で頭がハッキリする

「なんしたんね?!」

「お父さんが倒れたと!救急車で運ばれてね ご飯食べよってね・・・・・」

「よかけん 病院の名前は?」

動揺している母は なかなか病院の名前を言わず 経過を話そうとするので
「そがん話はあとで聞くけん 名前ば言わんね!!すぐ行くけんね!」

二日市の病院だった もうすでに爆睡してる びぱぱを起こして 病院へ向かう

父は365日お酒をかかさない 外で呑むより家で呑むのが好きで
滅多に我が家は外食しない家庭だった 今夜のようになにかイベントごとがない限り
父は家で呑むのだ 母の料理が好きで そしてなにより母が好きなのだ
呑み方の綺麗な人でもある 
病気知らずだった父が 数年前 血圧が200を超え具合を悪くした
血圧を下げる薬を毎朝飲まなくてはいけなくなったが、それでも父は酒をやめることはなかった

宴会は大変盛り上がっていて父も気心知れた仲間ばかりで 「必要とされて仕事を出来る今が一番楽しい」と まだまだ現役続行宣言をしていたそうだ
周りからも盛り上げてもらって本当に嬉しそうに お酒を呑んでいたんだろう
最後の デザートが出てきた頃 父は一言 「もう眠くなってきたな」
そう言ったと思ったら 意識不明になったという
ちょうど 角の席に父は座っていたらしく 後ろに倒れることなく ズルズルと滑るように
横に倒れたらしい 手は拳を強く握って硬直し 真っ青となって口からは食べた物を吐いていた
「動かすな!」と仲間の方たちが 狼狽して 父を揺り動かそうとする母をとめて
救急車を呼んでもらったそうだ

病院へ向かう車の中・・・脳梗塞・・・脳溢血・・・半身不随・・・
グルグル悪い事が巡る

病院の夜間受付の明かりが見えた

母はまだ動揺しているだろう なにがあっても私は平然としてよう 私まで動揺したら
母が今度は倒れかねない 決心して病院へ入る

「父が運ばれたようなのですが・・・」と調べてもらってると中から 「○さんの娘さん?こっちこっち」と呼ばれ 「お父さん血管切れとらんやったよ 手足も動いてるよ」
そう言われて 頭から肩 肩から足へと大きな荷物が落ちて行ったように安心した

母が飛び出してきて 一緒に処置室に入った
バツが悪そうな 父が点滴を打ちながら寝ていた まだ顔は血色が悪く生気もなく弱弱しかったが 「なんやん 生きとっやんね もう心配させんでよね」と私が笑うと 父はエヘヘと笑った

頭のCT検査など 全て異常がなかった

原因は 父が飲んでいる血圧の薬は柑橘系と合わせるのは絶対にいけないらしく
それは父も母も重々日頃から注意してたそうだけど
どうも 小鉢に飾ってあるレモンを口にしたらしく それで一気に血圧が60まで
下がっていたそうだ そこにいつもより多い酒と眠気を我慢していて体を休めなかった事が
要因らしい・・・

待合室には その日集まっていた仲間が全員帰らずに残ってらした
せっかくの送別会が大変な事になって申し訳ないと頭を下げる私に「良かった良かった」と
父を心配して下さる言葉が嬉しい
もう深夜を過ぎていたので帰宅してもらい そして父も入院する必要もなく一緒に帰りることになった

「もう お父さん お酒は呑まれんね」という母に

「アホかっ! ありゃ酒が悪いんじゃなくてレモンが悪かったんや!レモン食べんやったら
エエんやっ!」

「そんな事言いよったら 次ぎ倒れても迎えに行かんけんね」笑って言い返せる夜で
本当に良かった・・・

次の夜 父は酒を呑まなかった(笑)
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by 4wanbesufuai | 2006-09-10 09:12 | つぶやき